2025年3月初め、収穫の大喧噪を数週間後に控えたフェルトン・ロード醸造家ブレア・ウォルター氏よりニュースレター(3月3日付)が届きました。フェルトン・ロードの3月は秋の収穫期。その時期が近づくと、畑もワイナリーもにわかに慌ただしくなり、緊張感が増していきます。ブレアによると、2025年の生育状況は、昨年11月3日に2003年以来の最も深刻な霜害が発生し、特にシャルドネとカルヴァートの区画を中心に5-20%の損失が出たものの、その後3月初旬まで順調に進行中。3月26日から始まる収穫を天候を気にしながら待っているところ、とのことでした。〈ゼネラル・マネージャー 中村芳子〉ニュースレターより今回のニュースレターは、フェルトン・ロードが「畑と栽培」、そして「環境保全」に全力を注いでいる様子が改めてしっかり伝わってくるものでした。◆ 畑と栽培バノックバーンにあるエルムズ、マクミュアー、カルヴァート、コーニッシュ・ポイントの4つの自社畑は、合計34ha。2002年に有機・バイオダイナミック農法を導入して23年が経過し、「畑はその個性をより正確にワインに表現できるようになっており、徹底した畑へのこだわりと丁寧に栽培された自社畑のブドウがフェルトン・ロードの特色ともいえる透明感、誠実さ、そしてエレガンスを支えている」とブレアは言います。畑の植え替えと台木の選択については、2024年6月に来日した際のセミナーでも強調していましたが、2024年の春には、約7年にわたって進めてきた約4ha分の植え替え作業が完了。多様でおもしろい台木の導入やクローンの更新(自社のマサル・セレクションも含む)、また土壌により適した品種への切り替えなどを行ったとのこと。特に乾燥に強い台木の適応状況を見守っているとのこと。夏の間、畑ではデータ収集とモニタリングを緻密に行ない、根が必要とする水分を的確に少量届けることができる地下への直接灌漑の導入、大型ドローンによる空中散布など、栽培面で効果的な最先端技術が積極的に取り入れられています。◆ 環境保全へのコミットメントフェルトン・ロードは、有機およびバイオダイナミック栽培によりデメター(Demeter)とバイオグロ(BioGro)の認証を2010年から取得していますが、2022年にはIWCA(International Wineries for Climate Action, 気候変動に取り組む国際ワイナリーアクション)のメンバーに加わり、ISOによるカーボンインベントリ認証(温室効果ガスの排出量を正確に算定・報告し、認証を受けること)を取得、2050年までの排出ゼロに向けた計画を提示しました。また2024年には、1月にBコープ(B-Corp)認証を取得。10月にはゴールデン・ヴァインズ・アワード(Golden Vines Awards)にて「サステイナビリティ賞」を受賞しました。その受賞ディナーではオーナー、ナイジェル・グリーニング氏がワインボトルの重量を軽くすることなどを含め、フェルトン・ロードの取り組みの一部をユーモラスなスピーチで紹介しています。ニュースレターを受け取った3月初旬の時点では、前年2024年ヴィンテージのシャルドネとピノ・ノワールの試飲・評価を終え、それぞれの区画ごとのブレンドを決定。澱引きをして、ニュートラルな樽でさらに3-6ヶ月熟成させているとのこと。この秋には出荷が可能になるようです。毎年5月頃、フェルトン・ロードから前年度のシャルドネとピノ・ノワールの提案計画が届きます。ヴィレッジ・セラーズは毎年輸入後、届いたワインを少なくとも半年間は自社セラーで寝かせ、次の年の6月から販売を始めます。バイオダイナミック農法に使うプレパレーションづくり畑の下草ヴィンテージ情報 2023&20242023開花期は温暖で安定、3品種すべてが平年並みの結実となった。12-2月は乾燥して高い気温が続くも、2月終盤から3月にかけて適度な雨に恵まれ、病害の心配もなく、穏やかに成熟が進んだ。品質とスタイルに非常に手応えを感じている……2023年はこれまでにない繊細さとタンニンの質が特徴で、畑の成熟、栽培の進化、醸造の微調整が結実し、ワインの個性がより明確に表れている。20242023年と栽培条件が珍しいほどに非常に似通っていて、2023年同様、緻密で滑らかなタンニン、畑の個性が明確なストラクチャーを備えている。ヴィンテージ情報 2018これまで幾度もあったように“前半と後半”で様相が一変した年。10月から1月にかけて、異例の高温と乾燥が続いたものの、2月には気温が急降下し、過去14年で最も涼しく、観測史上最も降雨量の多い月となった。この冷涼で多湿な2月のおかげで、ブドウの成熟は大幅に遅くなり、前月までの異常な高温によるワインのスタイルや品質への心配は払拭された。収穫は例年より早い2月28日に始まり、その後3週間にわたり、秩序ある落ち着いたペースで進んだ。注釈*ニュースレターによると「当初は”IWCA”と検索するとInternational Window Cleaning Association(国際窓清掃協会)が出たが、今ではInternational Wineries for Climate Actionがトップに表示されるようになった」そう。** 米国の非営利団体 B Lab が運営し、「社会的・環境的に公益性の高い企業」を示す国際的な認証制度。従来型の利益のみを追求する価値観ではなく、「人・地球・社会」に対して責任ある行動をとっているかを問うもの。*** ワイン業界での卓越性を称える国際的な賞で、「ワイン界のオスカー」とも称される。世界中の優れたワイン生産者を表彰すると同時に、多様性を推進する慈善活動も支援。世界最優秀ソムリエ/マスター・オブ・ワイン 故ジェラール・バッセ(Gérard Basset)氏の遺志を継ぎ、「リキッド・アイコンズ(Liquid Icons)」が主催。**** スピーチの内容はhttps://www.village-cellars.co.jp/pdf/news/FeltonRoad_VCWine_Catalogue2025Summer.pdfからナイジェル・グリー二ング氏