2025年2月 Co-CEO来日 試飲セミナー開催報告去る2月、ルーウィン・エステート2代目で共同最高経営責任者のシモーヌ・ホーガン・ファーロン氏が西オーストラリアより数年ぶりに来日。東京 銀座にて(一社)日本ソムリエ協会 分科会セミナーが行なわれました。シモーヌとともに講師を務めてくださった近藤氏とは2023年現地訪問以来の再会。2人の充実した掛け合いのおかげで、マーガレット・リヴァーの空気感が伝わる楽しいセミナーとなりました。シモーヌ・ホーガン・ファーロン氏に聴くルーウィン・エステートの魅力近藤 佑哉レカングループ総支配人兼エグゼクティブソムリエ(一社)日本ソムリエ協会 理事◆ はじめにルーウィン・エステートの共同最高責任者シモーヌ・ホーガン・ファーロン氏を招いて、フラッグシップであるアートシリーズからシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンのバックヴィンテージを比較試飲するという希少なセミナーが開催された。参加申込みのエントリーは即満席。当日の会場の熱量も最高潮だったセミナーから、特に印象的なポイントを振り返ります。◆ ルーウィン・エステートについて1960年代、マーガレット・リヴァーはぶどう栽培適地と分かり、一躍注目を浴びた。そのニュースを聞きつけたカリフォルニアワインの父、ロバート・モンダヴィ氏から「この牧草地を売ってほしい」と頼まれたその人こそ、ルーウィン・エステートの創業者デニス・ホーガン氏(シモーヌ氏の父)である。企業家として成功していた彼はモンダヴィ氏の申し出を断り、1972年、自身でワイナリーを創業。「ワインとはアート」というテーマを掲げ、絵画や音楽などの「芸術との融合」という地域貢献にも寄与した見事なマーケティングPRと、実直なワイン造りへの姿勢が、ルーウィン・エステートを世界最高水準のワイナリーへと押し上げた。◆ ウォルクリフ地区の強み今ではマーガレット・リヴァーといえばプレミアムワイン産地として多くのワインラヴァーに知られている。しかし、ソムリエとしてチェックしておきたいポイントは、非公式ではあるが6つに分かれる各サブリージョンの特徴である。なかでも代表格となるのは、マーガレット・リヴァーの中央部ウォルクリフ地区と、その北西に広がるウィリヤブラップ地区。ウィリヤブラップ地区から産出される赤ワインは、黒・紫系の果実のキャラクターが特徴的ないわゆるニューワールドスタイルのワイン。対してルーウィン・エステートがあるウォルクリフ地区の特徴は、インド洋の冷たい海流の影響で赤系果実のキャラクターが感じられる「エレガントなスタイル」に仕上がること。ブラインドだとボルドーと言ってしまうほど難しい。この2つの特徴を押さえておくだけでも上手にワインを使い分けられるようになる。◆ ジンジン? ホートン?マーガレット・リヴァーのシャルドネは特徴的な「ジンジンクローン(Gingin clone)」だ。1房に大小粒の大きさが異なる実を付けることから、力強い凝縮感とフレッシュでフルーティーなキャラクターの両方を兼ね備え、新樽にも見事に調和する。またカベルネ・ソーヴィニヨンもこの地特有の「ホートン クローン(Houghton clone)」が使われる。ホートンの果実はワインにストラクチャーを与え、エレガンスとフィネスを表現するといわれ、マーガレット・リヴァーのテロワールをクローンからも楽しむことができる。ジンジンクローンホートン クローン◆ スクリューキャップ熟成ルーウィン・エステートのアートシリーズは、プレミアムレンジのワインでもスクリューキャップでリリースされる。「コルクじゃなきゃ高級感が……」そんな方にこそぜひお試しいただきたいスクリューキャップ熟成の魅力。コルクに比べて嫌気的な状態で保存できるため、長期熟成したワインでも驚くほどのフレッシュさが感じられ、同時にゆっくりと熟成に向かうことで、アロマはより豊かになり、味わいも溶け込んだ見事な熟成ワインを楽しめる。◆ 最後に今回、来日したシモーヌ氏はマーケティングやPRを専門としており、彼女の話しからは、「ワインは楽しむもの」というメッセージが随所に感じられ、印象的だった。最高水準のぶどう栽培、醸造技術、戦略的なマーケティング、随所に一流のプロフェッショナリズムが感じられながらも、決してそれを表に出し過ぎず、「ワインラヴァーやソムリエたちに純粋に楽しんでもらいたい。それが一番のマーケティング。」と語る彼女の姿勢は、レストランマネージメントに携わる者として「経営の真髄」に触れる素晴らしい機会ともなった。テイスティングコメントルーウィン・エステート アートシリーズ・シャルドネ 2010(スクリューキャップ)CODE:9019“艶やかな凝縮したエメラルドグリーンの色調。熟したネーブルオレンジやネクタリン、オレンジブロッサム、フィナンシェやタルトタタン、スパイスなど上品で華やかなアロマ。若々しさと熟成感が見事に調和したしなやかな酸味が、舌に染み渡るように心地よく感じられ、アフターの長い余韻とともに優雅に楽しむことができる。”定価税込 ¥22,000品種:シャルドネ100%Alc.13.8%ルーウィン・エステート アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン 2015(スクリューキャップ)CODE:11035“オレンジを帯びたルビーレッドの色調。セミドライのチェリーやカシス、ローズペタル、ローリエ、アーシーなミネラルやビターカカオのアクセントなど多様な表情を楽しむことができる。フレッシュさを保ったソフトな酸味と熟成により完全に溶け込んだタンニンのコントラストが美しく、多層的な風味はグランヴァンの風格を感じさせる。”定価税込 ¥11,880品種:カベルネ・ソーヴィニヨン97%/マルベック3%Alc.13.7%