1978年、ティム&ジュディ・フィン夫妻によりネルソンのムーテリー土壌に設立されたノイドルフ・ヴィンヤーズは、低収量栽培、オーガニック農法、テロワールにフォーカスした南島ネルソンを代表するパイオニア的存在です。1993年英国の専門誌“WINE”主催の世界的テイスティングでトップ評価を獲得。他にも2015年、ボブ・キャンベルMWが2014ムーテリー・シャルドネにNZワイン初の満点(100pts)を付与するなど、特に同国を代表するシャルドネの造り手として高い評価を受けています。創業者夫妻の娘、ロージー・フィン氏はノイドルフを率いる2世代目。ロンドンでワイントレードの経験を積んだ後、2016年入社、現在はセールス&マーケティング・ディレクターとして、ゼネラル・マネージャー兼醸造家のトッド・スティーヴンス氏とともに、ワイナリーのグローバル戦略を担っています。今年5月に予定されている来日を前に話を聞きました。〈戦略ディレクター 中村安里 2026年1月〉Q:ノイドルフに入ったきっかけは?畑で育ったので、ワイナリーでの仕事はワインメーカーしかないと思っていました。でも理系は得意ではなく、人と関わる仕事が好きだったんです。デザインと写真を学び、ロンドンに渡ったことで、ワイン業界でも営業やマーケティング等のビジネス面を知ることができました。人やマーケット、ストーリーをつなぐ仕事に魅力を感じ、それが帰郷のきっかけになりました。現在はトッド、そして栽培責任者のステフ・ブロックリーとともにチームを組み、私は主にワイナリーの物語を伝える役割を担っています。仕事以外では、4歳の子どもとの時間を大切にしながら、釣りやスキューバダイビングなど、海のあるネルソンでの暮らしを楽しんでいます。ボートの上で味わうキングフィッシュの刺身とアルバリーニョは格別ですね。日本の魚介文化を体験できることも、今から楽しみにしています。Q:ワイナリーの近況を教えてください。2026年は温暖で乾いたスタートとなり、生育は順調です。まだ序盤ですが、落ち着いた安心感のある状況ですね。長期的には大きな変革よりも着実な改善を重視しています。ホーム・ブロック、トムズ・ブロック、ロージーズ・ブロックの3つの畑すべてでオーガニック栽培を継続、太陽光発電や軽量ボトルの採用など、サステナビリティへの取り組みも進めています。Q:近年はシャルドネとピノ・ノワールの他、複数の白品種に取り組んでいますね。どのように位置づけていますか。ノイドルフの核にあるのは、やはりシャルドネです。中でもホーム・ブロック・ムーテリー・シャルドネは、ニュージーランドで最も古いシャルドネ畑の一つ、1978年に植え付けた畑から生まれる、私たちの代名詞となるワイン。複雑で力強く表情豊かな味わいでありながら、バターや樽のニュアンスが過度に主張することはありません。45年以上にわたり、ノイドルフの哲学を体現し続けています。対照的なのが1999年に植えられたロージーズ・ブロック。北向き斜面の深い砂質ローム土壌で、より軽やかでサイトの個性が際立つ表現を見せてくれます。また、この畑のブドウはアンフォラ発酵との相性も良く、畑の個性をストレートに映し出します。樽で熟成したものとアンフォラで熟成したものを比べると、この畑から採れた果実の多様性が分かります。「ティリティリ」レンジでは、自社畑に加え契約栽培者の果実も使用し、ノイドルフらしさをより親しみやすい価格帯で表現しています。いずれのワインも自生酵母による自然発酵が重要な要素になっています。他品種の栽培は、気候変動への対応として始めました。降雨量の多いネルソンでオーガニック栽培を行うのは簡単ではなく、ピノ・ノワールが全体の約30%を占める中、より耐性のある品種が必要でした。アルバリーニョはその答えの一つで、この土地によく適応し、この地方の魚介中心の食文化にも自然に寄り添います。無理なく土地に馴染む品種には、やはり心地よいバランスがあります。Q:気候変動はノイドルフにどのような影響を与えていますか。一番の難しさは、その振れ幅です。緩やかな変化であれば対応できますが、年ごとの極端な変動は大きな課題です。ただ、小規模なワイナリーであるからこそ、品質を保ちながらヴィンテージの個性も楽しんでもらえます。気候と闘うのではなく、共存するワイン造りとも言えます。オーガニック栽培は日々の管理を怠らなければ、ブドウ樹は厳しい条件にもきちんと応えてくれます。トッドとステフの緻密な畑仕事によって、私たちは毎年、その土地とヴィンテージを正直に映したワインを造り続けることができています。掲載ワイン#13111 ノイドルフ ホーム・ブロック ムーテリー・シャルドネ 2023(スクリューキャップ)品種:シャルドネ100%Alc.13.9%定価税込¥16,50042ヴィンテージ目のフラグシップ。1978年植樹。樽(新樽15%)で自然発酵。10ヶ月間定期的にオリを撹拌、3ヶ月間ステンレス槽でファイン・リーと熟成。100%MLF。無清澄。アプリコットや柚子と牡蠣殻の風味が力強くも抑制的に調和。#13092ノイドルフ ロージーズ・ブロック アンフォラ・シャルドネ 2023(スクリューキャップ)品種:シャルドネ100%Alc.13.8%定価税込¥8,800 ブドウは#13111と同じ畑から。アンフォラで自然発酵。10ヶ月間グロス・リーと、2ヶ月間ステンレス槽でファイン・リーと熟成。100%MLF。無清澄。膨らみのある果実に蜜蝋の香り。洗練された味わいにほどよい重みがニュアンスを加味。#13110ノイドルフ ロージーズ・ブロック ムーテリー・シャルドネ 2023(スクリューキャップ)品種:シャルドネ100%Alc.14.3%定価税込¥8,8001999年植樹。樽(新樽15%)で自然発酵。10ヶ月間定期的にオリを撹拌、2ヶ月間ステンレス槽でファイン・リーと熟成。100%MLF。無清澄。快活な果実に樽の風味と火打石のミネラルが溶け合い、ムーテリーらしい洗練と優雅さ。