主に若木のブドウから造られる「アタ・ランギ・クリムゾン・ピノ・ノワール」は、ポフツカワやラタをはじめとするニュージーランド固有の樹木の保護を目的とする活動「プロジェクト・クリムゾン」支援のため、今から20年前に「クリムゾン」の名でリリースが始まったワインです。| クリムゾン・ピノ・ノワールとポツフカワの花#11664 アタ・ランギ・クリムゾン・ピノ・ノワール S'19産地:ニュージーランド、マーティンボロー品種:ピノ・ノワール 容量:750ml Alc. 13.8%希望小売価格:¥4,200(税別)94 points, ★★★★ by Bob Campbell MW, The Real Review August 09, 2021ちなみに “クリムゾン”は色の名前の一つで、ニュージーランドの固有の樹ポフツカワやラタの花が「クリムゾン(深みある紅)色」であることに由来します。ポツフカワとラタは、どちらもたくさんの赤いおしべがブラシ状に丸く開いた花を付ける樹木で、現地の人でも一見して見分けがつかないほどよく似ているのだそうです 。一説によれば、花では区別が付かず、樹形や葉っぱで見分けるのだとか。いずれも毎年12月のクリスマス・シーズンに深紅の花の見頃を迎え、濃い緑の葉と美しいコントラストをなすことから、「ニュージーランドのクリスマスツリー」の別名でも親しまれています。・アタ・ランギ セラードア脇のポツフカワこれらニュージーランド固有の樹木は、植物に寄生し病害を引き起こす、さび菌(myrtle rust)や、樹木の新芽や樹皮を食べつくす外来動物のポッサム(フクロギツネ)[i]の急激な増殖によって20世紀、その数を劇的に減らし、絶滅の危機に瀕していました。1980年のアタ・ランギ設立当初より自然環境保護に強い情熱を傾けてきた創設者クライヴ・ペイトン氏はこうした状況を憂慮し、いまから20年前に「クリムゾン・ピノ・ノワール」のリリースを開始すると、その収益の一部をプロジェクト・クリムゾン[ii]による樹木の保護・育成活動の支援に充ててきました。アタ・ランギの創設者 クライヴ・ペイトン| クライヴとアタ・ランギの自然環境保護への取り組みクライヴは、プロジェクト・クリムゾンへの継続的な支援と並行して、すでに絶滅したと思われていたラタの一種を、森を探索中に見つけた木を元に増やし、自ら植樹も手がけています。2002年には、ニュージーランド北島最南端のパリサー岬から北のマーティンボロー近くまで広がるアオランギ(Aorangi)森林公園に面した広大な土地を取得して「ブッシュ・ブロック」と名付け、これまでに75,000本以上もの固有種を植樹してきました。ラタの苗クライヴの関心は植物だけにとどまらず、自ら「アオランギ・リストレーション・トラスト」という団体を設立し、再生しつつあるアオランギの森周辺で絶滅の危機に瀕している野生動物(在来種ペンギンなど)が以前のように生息できるための保護活動も行っています。こうした活動にはクライヴだけでなくアタ・ランギが全面的に関わっています。| ワイン造りにおいてもちろん自然環境への配慮は、ワイン造りにおいても実践され、27haにおよぶ自社畑は、すべて化学肥料や除草剤を使用しない有機栽培(2014 年全畑が バイオグロ認証)。ワイナリーの消費電力はほぼ太陽光で賄われる他、菜園での野菜栽培や、畑を囲む原生林を生かした養蜂も行われています。バイオグロ有機認証とヘレン・マスターズ(醸造家)、ブレイドン・クロスビー(ヴィンヤード・マネージャー)ワイナリーで必要な電力は、屋根のソーラーパネルで。photos by Ata Rangi[i] ポッサム(和名:フクロギツネ)は、オーストラリアに生息する小型の有袋類。1837年に毛皮採取のために初期のヨーロッパ人入植者らにより持ち込まれた。[ii]「プロジェクト・クリムゾン」は、1990年に設立された自然保護団体。絶滅の危機に瀕しているニュージーランド在来樹の保護活動を主体に、ニュージーランド全土の原生林の保護・再生や、健康で持続可能経済システムの構築をミッションに掲げる。