1970年代初頭、ニュージーランドで近代的なブドウ栽培が始まると、マールボロは急速に発展、特にマールボロ・ソーヴィニヨン・ブランは、その鮮烈でアロマティックなスタイルにより、1980年代半ばまでに国際的評価を確立します。現在、同国のワイン生産量の約70-75%をマールボロが占め、その大半はソーヴィニヨン・ブランです。この弾けるようにフレッシュなスタイルがマールボロ・ソーヴィニヨン・ブランの特徴として広く認識されていく一方、サブリージョンによる個性の違いにはあまり目が向けられてきませんでした。カタリナ・サウンズは、「マールボロが生み出す最高峰のワインを造る」という明確なヴィジョンのもと、2005年に設立されました。果実を厳選して、風味の中盤における厚みと複雑性を構築、よりバランスに優れ、洗練された落ち着きのあるワインを目指しています。カタリナ・サウンズのワインメーカー、マシュー・ウォード氏と生産者団体Appellation Marlborough Wineの知見をもとに、マールボロの地域ごとの特徴とワイナリーのアプローチを整理しました。マールボロの地域ごとの特徴マールボロの土壌は、過去1-2万年にわたる河川の堆積によって形成されています。ワイラウ川沿いに広がるワイラウ・ヴァレーは広大な平地で水はけのよい沖積土壌、開放的で果実味主体のワインが生まれます。より南に位置するアワテレのワインは、酸が高くハーブのニュアンスを伴った直線的なスタイルです。ワイラウ・ヴァレーの南部に広がる丘陵地がサザン・ヴァレーです。この地域の土壌は水分保持力の高い粘土質を多く含み、ブドウはワインにより豊かな構造とテクスチャー、そして結果として厚みをもたらします。ピノ・ノワールやシャルドネだけでなく、ソーヴィニヨン・ブランもよりしっかりとした骨格を備えます。カタリナ・サウンズとサザン・ヴァレーカタリナ・サウンズは、主として、このサザン・ヴァレーにフォーカスしています。現在カタリナ・サウンズの中核を成す自社畑“サウンド・オブ・ホワイト”はサザン・ヴァレー内のミクロ・リージョン、ワイホパイに2005-06年に植え付けられました。標高約200m、約30haの“サウンド・オブ・ホワイト”は周囲の山々に守られ、冷涼な東風の影響を受けにくい一方、夜間の気温低下の恩恵を受け、ブドウはよりゆっくり成熟し、収穫時期はワイラウの中心部より1-2週間遅くなります。現在、カタリナ・サウンズ・ソーヴィニヨン・ブランに用いられるブドウの60%以上がサザン・ヴァレーから供給され、そのうち30-40%が自社畑です。残りはサザン・ヴァレーの契約栽培農家およびワイラウ・ヴァレーの厳選した区画から調達し、熟した果実味とバランスを補完しています。このブレンドにより、マールボロらしいフレッシュさを保ちながらも、抑制の効いたテクスチャーと中盤の厚みを備えたスタイルが引き出されます。ピノ・ノワールはサザン・ヴァレーの自社畑ブドウが主体で、粘土質土壌とゆっくりとした成熟により、より濃い果実味と構造、そして旨味を伴う複雑さを備えます。醸造へのこだわり ―― 均一化するのではなく、積み上げる「醸造過程では可能な限り、収穫したブドウを区画ごとに分けて扱います」とウォード氏。分けて仕込んだワインを最終的にブレンドする際、「均一化」するのではなく、それぞれの特徴を生かして積み上げるのがハウススタイルだと言います。ソーヴィニヨン・ブランは、30-40のロットに分け、主にステンレスタンクで発酵、一部は4,000-5,000Lの大樽や500Lのパンチョン樽を使い、樽香ではなくテクスチャーを加味します。培養酵母と野生酵母を併用し、畑ごとの個性を尊重しています。最終ブレンドではサザン・ヴァレーの果実が構造とテクスチャーを、ワイラウからの果実がより熟したストーンフルーツ、桃、メロンなどの果実味を担います。ピノ・ノワールはサザン・ヴァレーの樹齢20年以上から若木まで、畑の標高差に応じて複数回に分けて収穫、区画ごとに全房発酵の比率を調整し、1-4tの小型ステンレス槽で野生酵母により発酵、21-30日間のマセラシオンを経てフレンチオーク樽(新樽約12-15%)で熟成します。マールボロの海洋性気候と粘土質土壌の構造がその個性を形づくり、「野生酵母による発酵が、よりダークでスパイシーな方向へと果実味を導き、テクスチャーとディテールを高める」とウォード氏は言います。「カタリナ・サウンズ」の由来サウンドは音のことではなく、「広く深い入り江」の意味。マールボロには多くの入り江があり(マールボロ・サウンズ)、1940-50年代には水上への着水能力に優れた飛行艇「カタリナ」が活躍していた。バックラベルにはマールボロ・サウンズ上空を飛ぶカタリナが描かれている。マシュー・ウォード / Matthew Wardマールボロ出身。同地域で23回の収穫を経験。栽培から始まり、その後醸造へと進む。欧州やアメリカでも経験を積み、2020年カタリナ・サウンズに加わる。2011年から栽培を担当するヴィンヤード・マネージャー、フレイザー・ブラウン氏とともに品質を支えている。左:フレイザー・ブラウン氏(ヴィンヤード・マネージャー)右:マシュー・ウォード氏(ワインメーカー)掲載ワイン#13271 カタリナ・サウンズ ソーヴィニヨン・ブラン 2024(スクリューキャップ)品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%Alc.13.7%定価税込¥3,630柑橘の皮、リンゴ、濡れた石のアロマ。塩っぽさを感じさせるミネラルが果実味に織り込まれ、自然な酸が全体を支える。2024年は低収量だが、房が小ぶりでクリーンな優良年。#12912 カタリナ・サウンズ ピノ・ノワール 2022(スクリューキャップ)品種:ピノ・ノワールAlc.12.6%定価税込¥4,950黒い果実のアロマにトースト香。凝縮したドライクランベリーや紅茶の風味が余韻に心地よい。2つの畑のブドウをブレンド、フレンチオーク樽(新樽12%)で11ヶ月間熟成。