10年ほど前、弊社では185mlのプラスチックカップ入りワインをコピト(COPITO)のブランド名で販売していました。コピトは「小さい(カップ)」という意味も含めて自分たちで創った言葉であり、結構気に入っていたので、コピト・ワインの取り扱いを終了することになった時は寂しい思いをしました。しかし昨年来、通常のワインボトルから、小さいサイズの瓶への詰め替えを本格的な事業として手がけることになり、このたびこの事業自体をコピト・プロジェクトと名付けることにしました。小瓶詰め替え事業 コピト・プロジェクト 2020年初めから続くコロナ禍で、生産者の来日がなくなり、対面でワインを紹介できる試飲会などの場も大幅に縮小され、さらには県をまたぐ移動の自粛要請などもあり、ワインを提供する側と求める側の繋がりが断たれる異常事態が長期化しました。それでもワイン生産国ではワイン製造は大切な産業でエッセンシャル・ワークとされ、新しいワインやヴィンテージは次々と生まれます。そういったワインをこの状況下で確実にご紹介するには、リモートで試飲する機会を積極的に作っていくしかないのでは、と小瓶詰め替えの事業化に踏み切りました。それがコピト・プロジェクトです。どうすれば質を保てるか ワインを小瓶に詰め替えてお届けすること自体は、弊社だけの新しい取り組みではなく、ワインスクールなどのリモート授業でも行なわれています。詰め替えに際して問題となるのは、元のワインが備えている風味を小瓶にいかにそのまま移し入れるかということです。どうすれば質を保てるか…その試行錯誤がコピト・プロジェクトの最初のチャレンジでした。 詰め替えによる品質劣化の一番の原因は、酸化です。ワイナリーでワインが造られ、ボトリングが行なわれる時、ワイン内の溶存酸素はしっかり管理され、ボトリングラインでは瓶内の空気を除去し、代わりに不活性ガス(主に窒素)でボトルを充満する、という工程が機械的に組み込まれています。ワインが瓶内以外の酸素と初めて混ざり合うのは、ボトルを開栓しグラスに注いだ時で、酸化・劣化が起こらないようにボトリングされているはずです。それをグラスに入れるより前に一度別の瓶に移し、後日それを開けることにしたいとなると、相当の工夫がない限り、劣化は避けられません。 そこで弊社が試みたのが、アルゴンで満たした槽の中でワインを詰め替えるというやり方でした。認可申請に長年費やした苦労の甲斐あって、2019年よりワインの長期保存に使えるようになったアルゴンガスを活用しない手はありません。アルゴンガスで満たされた大きな槽の中でワインをフルボトルから小瓶に注ぐことで、酸素と触れさせずに移し替えることが出来ます。しかしこの方法も完璧ではありません。作業中、ボトルに入ったワインに傾いては戻り、という動きを何度も強いることになるので、ある意味、試飲会などで長時間、何度も注がれる動きを繰り返し、次第にワインが疲れてしまう状態に近くなりますし、場合によっては手で持っている瓶の開口部がアルゴンガスの層から出てしまう可能性もあります。また手作業で口の狭い小瓶に規定量を正確に注ぐことは想像以上に難しく、こぼしてしまう無駄もありました。充填機の導入 2021年6月、弊社恒例のオープンセラーが2年連続の中止を余儀なくされることになり、大切に熟成してきたワインをせめて小瓶でご紹介したいと考えたことをきっかけに、希少なワインを手で小瓶に移し替える際のリスクを回避するため充填機の導入を決めました。 導入したのは蠕動(ぜんどう)ポンプというもので、医療や食品製造業で幅広く使用され、流体に優しく、掃除もしやすいタイプの充填機です。フルボトルを傾けずにワインを底から吸い上げ、それを小瓶の底まで届くノズルで小瓶に注ぐので、ワインの瓶自体を動かすことなく詰め替えが出来、さらに機械化したことで、手でこぼしてしまうことによるロスも減らすことができました。フルボトルも小瓶も全てアルゴン下にあるので酸化の心配がないと同時に、詰め替え効率も大きく向上しました。詰め替え小瓶ワインを通じて 充填機の導入後2021年6月に酒類製造業の許可を得てからは、「熟成ワインセット」「ブラインドテイスティング・セット」「モスウッド5ヴィンテージ垂直試飲セット」などさまざまなテーマに沿った詰め替え小瓶ワインを企画販売し、実践を重ねてきました。 好きなワインを食事とともに楽しむのはもちろんのこと、複数のワインを同時に飲み比べるのもとても愉しく、興味は尽きないものです。品種や産地の特徴、生産者による醸造方法の違い、ブドウの生育から収穫までの気候状況を語るヴィンテージの特徴など、ワインには面白い要素が沢山つまっています。詰め替え小瓶ワインをお届けすることで、場所や時間などのさまざまな制約を減らし、より気軽に、また多様な視点からワインそれぞれの個性に触れることのできる機会を提供したいというのも本プロジェクトの目的の一つです。今後もさらなる設備投資を行ない、より多くの方に、より数多くのワインをフルボトル同等のクオリティでお届けできるよう、コピト・プロジェクトを進めて参ります。( ヴィレッジ・セラーズ株式会社 企画・戦略マネージャー 中村安里)ワイン詰め替え小瓶作成ご注文承ります自社定温倉庫(富山県氷見市)での詰め替え小瓶作成を事業として承っています。担当営業または弊社富山本社までお気軽にお問い合わせください。特徴定温倉庫内で詰め替え・在庫管理アルゴンガス環境下充填機(蠕動ポンプ)使用以下もお引き受け可能です※ 場合によりお断りさせていただくことがあります。弊社以外がお取扱いのワイン小瓶・梱包材・ラベル等資材の用意直送/発送代行過去の詰め替え作業の様子を動画でご覧いただけます。※ 動画内で紹介している商品の販売は終了しています。【ヴィレッジ・セラーズYouTubeチャンネル】詰替小瓶セットの作り方を特別に公開します!%3Ciframe%20width%3D%221280%22%20height%3D%22731%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FrLpcN4QEbTo%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3E