今年のHappyな出会い・・・25年ほど前にフランスを訪れた際、ハムや卵が入ったガレットと一緒に、陶器製のボウルでシードルを飲んだ感動が今でも忘れられません。もともとあまりアルコールが得意ではない私にとってシードルは優しく、心を癒す思い出の1杯でした。その後、あのシードルを求めて色々試すのですが、非常に酸化していたり、熟成していたりとあのフレッシュ感になかなかたどり着くことが出来ませんでした。時折、近いものを見つけてもフルボトルサイズしかなかったり、コスパがあまり良くなかったりと満足するものが見つかりません。フランスのものだけでなく、イギリスのサイダーも試してみました。小瓶で扱いやすいので、しばらく店でも使用しましたが、途中ボトル差が激しくなり、心が離れていきました。ここ数年は富山県のシードルがお気に入りで、やはり移動させない方がよいのかと思っていました。そんな中、今春「スリー・オークス・シードル」に出会います。フレッシュさ、適度な果実味、気持ちのよい切れ味で、辛口。使い切りサイズで缶入り。パッケージも独創的で私好み。すっかり虜になってしまいました。自粛期間中、色々なテイクアウト商品と合わせてこのシードルを楽しみましたが、特に手打ち蕎麦に岩塩を付けた時のペアリングは、かつてのガレットと合わせた時のことを思い出させてくれ、あの時の感動が蘇りました。缶入りワインというものに抵抗がある方もおられるようですが、オージーの缶入りワインはかなり前から存在していて、そのクオリティには素晴らしいものがあります。以前、バロークスという缶入りワインが初めて日本に入ってきたとき、数本購入し、そのうち1本を冷蔵庫で熟成させてみました。約5年後、新しいものと飲み比べをしたのですが、なんの損傷もなく、むしろ新しいものよりも美味しく感じ、缶入りワインの実力を思い知らされました。ただ「オーストラリア=シードル」ということがなかなか結び付きません。何度かオーストラリアを訪問していますが、シードルを飲んだ経験は一度しかありませんでしたし、ビールのイメージがとても強い印象で、タップから色々なビールを飲んだことしか頭にありませんでした。数年前、ゴールドコーストからグラニットベルトに車で移動した時、徐々に標高が上がりはじめ、外にはリンゴの看板が見えてきました。生産者は「ここはリンゴが取れる冷涼な地域なんだよ」と説明してくれましたが、今思うとそこはシードルの産地でもあったのでしょう。「オージーはシードル好き」と聞いたことはありましたが、あまりピンとこないので、今回生産者に質問をさせていただきました。◆ <辻>アデレード・ヒルズはシードル生産で有名なエリアなのですか?――<Thee Oaks> そうです。オーストラリアでもっとも有名な地域です。冷涼な気候がリンゴの栽培に適しています。◆ アデレード・ヒルズには何軒ぐらいシードル生産者がいますか?―― 10軒以上あります。◆ オーストラリアではどのようにシードルを楽しみますか?―― ビールの代わりに楽しんでいます。夏は、氷の入ったグラスに注いで飲んだりもします。◆ パブではシードルもタップで提供されるのですか?―― はい。いくつかあるビールタップに並んで、シードルのタップも見かけますよ。◆ オーストラリアでよく飲まれるのはドライ?オフドライ?―― どちらもです!◆ 缶入りシードルはいつ頃からオーストラリアにありますか?―― 1960年代だと思います。◆ おすすめのフードペアリングを教えてください。―― 個人的にもっともおすすめなのが、チーズ。リンゴのフレッシュさが塩気と風味の強いチーズに合います。◆ シードル用のリンゴはいつ頃収穫しますか?―― 秋の間に収穫します。時折、ブドウと一緒になりますが…◆ シードルのメイキングについて聞かせてください。―― 搾汁と醸造はラングホーン・クリークにある私たちのワイナリーで行います。天然酵母発酵し、低温醸造しています。質問をして、私が思っていた以上にオーストラリアン・シードルは歴史があり、人々の生活の馴染んでいることが分かりました。現地に行って、しっかりと確認しないといけませんね。実は、今年の7月にオーストラリアに行く予定でした。残念ながらキャンセルとなりましたが、次回は、必ずシードルの生産者をぜひ訪れたいと思います。ただ日本のものに比べて海外の缶は薄く、現地で購入しても飛行機内で破裂するリスクがあるので、購入はヴィレッジ・セラーズさんにお願いすることにします。オーストラリアン・シードルについて、もっと知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。栽培地マップや動画もあって勉強になります。Cider Australia http://www.cideraustralia.org.au/industry/australian-cider-map/