1976年5月24日、マスター・オブ・ワインでワイン商、ワインの教育家でもあったパリ在住の英国人、故スティーブン・スパリュアが当時の著名評論家などを審査員にパリで行なったフランスワイン対カリフォルアワインのブラインド試飲対決“パリスの審判(Judgement of Paris)”* は、ワインに対する当時の常識を覆しました。 それから48年後の今年5月20日、ロンドン・ワインフェア2024において、2021年3月に亡くなったスティーヴン・スパリュア追悼の意味も込め、世界のファインワインを取り巻く今を映すことを目的に“ロンドンの審判(Judgement of London)”**が開催されました。そこでは、白赤各8部門で「ヨーロッパワイン 対 その他世界」のペアが組まれ、各部門で世界を代表するとみなされるワイン16組、合計32アイテムが21人の専門家により審査されました。 総合得点は、ヨーロッパワインの合計(2, 621. 5pts)がその他世界の合計(2, 604. 5pts)をわずかに上回りましたが、試飲ワインを選んだ主催者の一人ロナン・セイバンMS(マスター・ソムリエ)は「当初から勝ち負けの問題でないことは分かっていたが、その通りの結果となった。…(中略)…それぞれの分野で最高とされる中から選ばれたワインから審査員はさらに選択を求められた」と語っています。またもう一人の主催者サラ・アボットMW(マスター・オブ・ワイン)は「今回の結果は、世界どこでも共通の認識に基づいて、偉大なワインを造れる可能性があることを示した」とも言っています。 数多くのファインワインの中からこの32アイテムに選ばれること自体、とても名誉なこと。ヴィレッジ・セラーズでは、取り扱い生産者のうち、以下のワインが部門別ペアに入っていることをリストで確認しました。部門 / ワイン名◆リースリング/Rieslingグロセット・ポーリシュヒル・リースリング 2012Grosset, Polish Hill Riesling, Clare Valley, South Australia 2012◆シャルドネ/Chardonnayフェルトン・ロード・シャルドネ・ブロック6 2017Felton Road, Block 6 Chardonnay, Central Otago, New Zealand 2017◆テクスチャード/Texturedペガサス・ベイ・ベル・カント・ドライ・リースリング 2011Pegasus Bay, Bel Canto Dry Riesling, Waipara, North Canterbury, New Zealand 2011◆ローヌ/Rhoneタービルク・ヴィオニエ 2011 ※ 現在、日本での取り扱いなしTahbilk, Viognier, Nagambie Lakes, Victoria, Australia 2011◆シラー/Syrahトリニティ・ヒル・オマージュ・シラー 2018Trinity Hill, Homage Syrah, Hawke’s Bay, New Zealand 2018 試飲の結果は、ペガサス・ベイ・ベル・カント・ドライ・リースリング2011が白および総合で最高得点に輝き、グロセット・ポーリシュヒル・リースリング2012が白の準優勝でした。トリニティ・ヒル・オマージュ・シラー 2018は、赤で最高得点を獲得したジャン・ルイ・シャーヴ・エルミタージュ・ルージュ2012とペアで試飲され、審査員の合計得点では及ばなかったものの、審査員の一人ジャンシス・ロビンソンMWは、双方に20点満点中18.5の同じ点数をつけたことを公表しています。* ワイン史のエポックメイキングとなった試飲対決。ギリシャ神話の「パリスの審判」にかけて、そう呼ばれる。葉山孝太郎氏による以下の記事に詳しく、その後のリターンマッチについても面白い詳細情報が続く。ワイン史を変えた!「パリスの審判」とは?https://www.enoteca.co.jp/article/archives/6255/** LONDON WINE FAIR’S JUDGEMENT OF LONDON: THE RESULTS 他を参照https://www.londonwinefair.com/news/london-wine-fair-s-judgement-of-london-the-results/